学習

効率よくスキルを取得するにはどんなアプローチがいいの?(前篇)

さて先日より発声トレーニングを久々に再開したところ、息が続かない、喉は痛くなる、滑舌が崩壊状態とモロに喘息のダメージが残っていてボロボロの状態でした。

なので、ガムシャラに練習を再開しても逆効果なのは目に見えているので、スキル習得が最も効率よくなるアプローチについて調べてみました。

だって、忙しい社会人たるもの、やるならば短時間で効率よく習得したいもの。

スキルを上げるには、どんどん実践すればいいだけじゃないの?

もっと上手くなるにはどれくらいの努力をすればいいの?

こんな悩みを持っている方に参考になる内容です。

さて今回、参考にした本はこちら!!

『超一流になるのは才能か努力か!』アンダースエリクソン/ロバートプール

この本は次のような疑問を検証した内容になっています。

  • 超一流になる人とそうでない人のとの差はどこで出るのか?
  • 才能とは生まれつきのものなのか?
  • 超一流の人たちに共通する原理・原則はあるのか?

この本の結論は次の通り

超一流のプレイヤーの能力は努力の賜物である。そして、長期間にわたって正しい努力をすれば誰にでも才能は習得できる。

これから色んな夢に挑戦する人にとってはとても心強い言葉ですね!!

では、どんな努力をすればいいの?と思った方は次の項目をチェックしてください。

1.能力(才能)とは、生まれつきではなく練習の差(量×質×時間)によるもの
2.練習は自分の能力を少し超えた負荷に設定すること
3.練習には全力で集中して取り組むこと
4.即座にフィードバック(または振り返り)を受けて、修正を継続すること。
5.心的イメージを磨きあげよう
6.結果が停滞してきたら、別のやり方でトライしよう
7.苦しい練習を継続できる環境を整えよう
8.練習は創意工夫をしよう

なお、今回は1~4項を紹介しますので後編はこちらをご参照ください。

効率よくスキルを取得するにはどんなアプローチがいいの?(後編) さて、前篇では効率的にスキル習得をするためのポイント8項目のうち4項まで紹介しました。 今回は続きを紹介していきます。 超...

能力(才能)とは、生まれつきではなく練習の差(量×質)によるもの

 皆さんは車を運転していてルートを考えるとき、『どの道路を使うか?』、『目的付近に目印となる建物はないか?』とか色々と脳に汗をかいた経験はないでしょうか?

 タクシードライバーは最適ルートを選定するために、上記のようなプロセスを経て、常に記憶にアクセスする習慣がついています。
 その結果、タクシードライバーの脳をMRIでスキャンしてみると、記憶を司る部位である海馬の領域が常人と比較して大きくっていることが分かりました。

 このことから、後天的でも負荷を与えることで脳は変化する(適応性する)すると著者は結論付けています。

 タクシードライバーと同様に音楽家(弦楽器)の脳も調べた結果、右手の活動領域は常人と同じ程度でしたが、弦を押さえる左手の領域ははるかに大きかったことが分かりました。

 つまり、長年にわたる練習により、左手をコントロールする脳領域が拡大していき、指の動きを繊細にコントロールできるように身体が適応したということです。

幼いころはぎこちなく使っていたお箸が、いつの間にか自然と扱えるようになったりとかも同じ事例ですね。

 エリクソン先生は上記の結果から次の提言をしています。

・才能とは”脳の活動領域の変化させ、身体を適応させる”ことである
・脳は何歳からでも変化に適応しようとする。
・才能(能力)とは、生まれついたものでなく、創り出すものである。

 では、才能が生まれつきでないのならば、超一流とそうでない人との何か?
 それは 才能の差=練習方法の差(質×量×集中力×時間) と断言しています。

 著者はチェスや音楽家、オリンピック選手、はたまたアメリカの偉人のエピソードから、超一流プレイヤーに共通する練習方法を研究してきました。

 そのエッセンスを含めたアプローチ(脳と身体に適応を強いる)を限界的練習と名付けています。
 

 限界的練習の各エッセンスは2.項以降で詳しく説明していきます

練習は自分の能力を少し超えた負荷に設定すること

 1.項でも述べましたが、脳は負荷が与えられるとそれに応じて適応しようとします。

 では、それに必要な負荷とはどれくらいなのでしょうか?
 本の中では、このように表現しています。

『居心地のよい領域(コンフォートゾーン)から少し外へ飛び出すこと』

 このままですと抽象的なので、本の中にあった参考例を挙げてみると

【限界的練習に適した負荷の事例】
・記憶力を強化したい場合
  ⇒ 数字を8桁覚えられたら、次は9桁以上の数字を暗記できるようにする。
・楽器演奏を上達させたい場合
  ⇒ 新しい演奏技術を使った曲に挑戦する。
・テニスを上達させたい場合
  ⇒ いつもの練習相手よりも、上手な相手と練習する

 要するに、それまで出来なかったこと(課題)に挑戦することが、脳の構造変化(適応性)を引き起こすのに効果的だそうです。

ただし、練習する内容は下記事項を満たしているのが前提となります。
・基本動作を正確に習得していること
・自分の上達を妨げている課題を克服するための練習であること
・練習内容は具体的な目標があること

 また、この時に難易度を高くしすぎると挫折しやすい、燃え尽きやすい、と逆効果なることもあるので、あくまで限界値の少し上という負荷領域が最も急速な変化を起こしやすいそうです。

 逆にいうと、いつまでも同じ難易度を繰り返していると上達は止まり、かえって下手になることもあるそうですので、気を付けたいことですね。

練習には全力で集中して取り組むこと

 何をやるにしても集中力は必要ですが、練習においても同様です。

 著者は『やるべき作業に全神経を集中しなければ、たいした進歩は得られない』と断言しているくらいです。

 では、どれくらいの集中力でやるべきかというと次の通りです。

・楽しいと感じていてはダメ
・70%の集中力でダラダラやるより、100%集中して短時間で済ませた方がよい

  練習するときは楽しいと感じるのではなく、”自らの課題は克服できているか””、”理想通りであったか”、と自らのパフォーマンスの出来に没頭しましょう。

『楽しいからこそ、集中し没頭できるできる』という意見もあると思いますが、今回は練習中における意識のことを指しています。

もし、集中できないのであれば、さっさと切り上げて、次回にもっと集中できるよう睡眠や休憩を取った方がよいということです。

超一流のプレイヤーでも集中力を長時間ににわたって保ち続けるのは困難です。昼寝などの適度な休憩をはさみ、集中力を保てるような環境つくりをしましょう

即時フィードバック(または振り返り)を受けて、修正を継続する

 世の中のビジネス本で共通しているのは、出来る人間ほどPDCAを回し、C(チェック)を大切にしています。つまり結果を検証し、改善点・課題を見つけることが重要なんですね。

それはスキル習得でも同じで、効果的な学習とは
 実践(具体的な課題克服) → 課題の抽出(フィードバック) → 修正 → 実践 ・・・
このサイクルを正しく繰り返すことにあります。

 つまりは、”課題の抽出”と”修正”を繰り返し、より理想に近づけることが大切なんですね。

 フィードバックを受けるのに最適なのは、優れたエキスパートに指導してもらうことです。

 指導者はフィードバックを受ける以外にも、自己の技量にあった最適な練習メニューの作成、課題克服の助言など重要なファクターになります。

『指導者なんて見つけられないよ』という方は、第7項を参照してください。

さて、これにて前篇は終了!
後半もお楽しみに♪

なお、今回紹介した本は上記以外にも下記のような役立つ内容も載っています
気になった方はぜひ、ご自身でも手に取ってお読みください。
 ・検証した結果の詳細データや解釈
 ・過去の天才たちの生い立ちや練習方法の詳細
 ・自分の子供を超一流に育成したいときの注意点
 ・自分たちのビジネスへの応用するには

また、参考になった部分はスポーツ、学習への応用に最適であるため
どんどん実践して血肉にしていくのがおススメです。

ABOUT ME
ニキ
本業エンジニア。趣味程度に声のお仕事をやるが、喘息によりノドと肺に大きなダメージを残す。 今はかつての声を取り戻すために足掻く毎日。 最近はボルダリングと化物語シリーズに夢中。 アニメ、マンガは好きだけど最近の声優さんのことが覚えられないのが悩み。